オフィス鴻

銭湯の料金

2025年05月29日

編集人がまだ小学生だった頃、友人宅が銭湯を経営していました。ボイラーで湯を沸かすために建築廃材などを使い、煤の多い煙突の清掃などに真っ黒になりながら従事して下さっていた方がいたことを思い出します。最近は銭湯の絶対数も総務省の資料では1968(昭和43)年の18,000件をピークに現在では3,000軒ほどにまで減少しているとされています。編集人の幼少期は銭湯は一種の社交場的な意味合いを持っていましたが、最近はスーパー銭湯やスポーツジムにも浴槽・サウナ・岩盤浴施設などが併設されています。また、自宅に浴槽がある家も増えてきたことから昔ながらの銭湯利用客は減少しているようです。

銭湯の料金も各都道府県によって異なり、現在は上限額が350~550円程度であることや他施設との競争を鑑みれば諸物価上昇によりかなり経営的に苦しいところが多いように考えられます。厚生労働省では保養・休養等を目的とした銭湯(一般公衆浴場)とスーパー銭湯のカテゴリーを別々に管理していますが、どちらにも共通しているのは日本人にとって入浴文化は疲れを癒す場所であることです。またインバウンド需要の増加に対応するため入湯税を引き上げる自治体も増えてきましたが、やはり大きな浴槽に浸かる解放感は特別なもののように感じます。時代の流れではあるものの、昔は浴槽を少量の水で温度を下げようとすると年配者から怒られるなんてことも多々ありましたが、それだけ庶民の生活に密接していたことの証だと思います。

なお最近は銭湯自体よりも昭和のノスタルジック的な雰囲気を楽しめるカフェなどとして再活用されているケースも増えてきました。一方で特有の画風で富士山を描いた銭湯絵師はほとんどいなくなり、三助さん(浴場で身体を洗う職業)に至っては恐らくゼロなのではないのでしょうか。まだエアコンが珍しかっら昭和40年代には子供が腰に手を当てながら親と一緒にコーヒー牛乳(瓶入り)を飲んだり、入浴で火照った身体を縁側で冷ましていた時分が懐かしいですね。