トラック共同輸送
2025年06月08日
「運送2024年問題」を契機に同業以外の企業同士で混載便や共同輸送が導入され始めています。混載便も共同輸送も30年以上前から存在していた運送業界の輸送手段です。いまここにきてこのような方策が見直されている背景には、ドライバー不足・Co2削減・積載率向上などがあります。もっと突っ込んだ言い方をすれば企業毎の論理に変化が生じてきていることの証と、ある種の宣伝効果を狙ったものだとも言えるでしょう。殆どは実証実験の域を出ておらず、CLO(Chief Logistics Officer)が機能している企業ほど公平性が高く難しい調整を経た協業になると考えています。結果的に消費者が必要な時に商品を購入できる利便性という観点と、中間流通事業者の存亡に関わってくる観点とが成功のカギを握っているでしょう。
ここでもう1点重要だと思われるのは荷主と運送事業者の契約内容です。おそらく複数荷主と運送事業者間で業務委受託契約書が交わされていると考えられますが、特に製造拠点・納品拠点の立地およびコストの配分方法などが決められていると考えます。その際にこの取り組みが長期化できる保証はどこにもありません。具体的には商流(商品の売れ行き)と物流(中間保管機能)、そして運送事業者(元請け)がかみ合わずに想定効果が見込めないことに起因します。もっと言えばある企業の戦略変更次第でいとも簡単に取り組みがとん挫する可能性があるのです。編集人も日用雑貨系の共同配送に取り組んだことがあり、最終的には物量(販売量)が多い企業ほど自分たちの論理(輸送キャパシティよりコスト削減が優先など)がまかり通ってしまう現実を経験しました。
またアメリカで流通事業の研修を受けた時も、世界標準ではない料金体系等が日本であたりまえであることに驚かされました。編集人は作業メニューと販売量に応じた課金(メニュー・プライシング)を原則としてロジスティクス事業を俯瞰しながら施策を講じていたものの、既得権益を守りたい従業員がいるのも事実でしたね。