オフィス鴻

運送貨物保険

2025年01月12日

貨物運送を生業とする貨物運送事業者は、高額な物品を運ぶ際に貨物の汚破損に備えて貨物運送保険(単発のオールリスク型)に入ることが多くあります。なかには、荷主サイドで保険料を負担する場合もありますが、中には貨物運送事業者が当該保険に加入しないケースもゼロではありません。自賠責保険・任意保険は人身事故や車両損害に対して保険が支払われるものですが、貨物への賠償には適合していません。そのため、保険料を節約するために貨物保険に加入しない運送事業者も多くあります。

一方で、悪意を持ってわざと積載物品(主に会計上金銭的価値がないと判断される類のもの)を汚破損させ保険金を騙し取る手口も指摘されており、某中古自動車販売会社では損害保険会社と手を組むような形でわざと破損させ修理代金を請求する事案がありました。実際の運送事業現場では、予約賠償の禁止が法律で定められているにも関わらず事故等で支払った費用をドライバーに弁済させる運送事業者も少なくありません。また、損害額を水増し請求して差額分をキックバックさせる管理者も未だに存在します。編集人の設立した運送事業専門会社では、予定賠償をさせない代わりに、毎月・年2回の査定で1日分の給料に満たない程度の手当を支払わない様にしていました。しかし、事業所長を中心に事故隠しが横行して手当欲しさに自分達で修理依頼するという本末転倒な事案も増えているようです。

元々、「事故を起こさないのがプロドラーバーである」という認識があり、無事故等の手当は年間査定で反映させるべきだと編集人は考えていますが、実際には事故をゼロにすることは非常に難しいことです。手当にしても免責金額(多くは10万円以内で保険会社と契約)より多くしてしまうと、このような行為が発生しがちだと言われています。特に最近はドライブ・レコーダーや防犯カメラの普及で事故責任割合を客観的に査定することが容易になりましたが、それでも内々に処理したい気持ちがある限りは「事故ゼロ実現」は困難だと考えます。