オフィス鴻

在庫マネジメント

2024年01月07日

VMI とは「Vendor Managed Inventory 」のことで、サプライヤー(製造メーカー等)がホールセラー(卸問屋)やリテーラー(小売業)の在庫をベンダー(卸などの販売企業)が小売販売情報を基に主導して補充する仕組みを指します。似た用語に CRP(Continuous Replenishment Program)があり、需要予測をもとに必要在庫量を決定する仕組み(自動補充システム)を指し、両方式ともに在庫管理の共通化・最適化・効率化の観点では目指すところは同じですが、返品を含む最終的な在庫責任をだれが持つのか大きな課題があります。

VMIでは在庫管理の効率化を目的として、サプライヤーが顧客との間で取決めた在庫レベルの範囲で商品供給するのですが、小売業の販売計画情報(売上、在庫量、プロモーションなど)は各小売業の戦略的マーケティングに該当するため、特にプロモーション情報(特売、新商品投入など)は直前にならないと判明しません。したがって、商品の所有権はベンダー側にあり、小売業に商品供給するまでは債権債務は発生しないことになります。また、ベンダーが在庫管理を行うということは、小売業の販売危機ロスを最小限にする責任がありますので、納品率(ファイブナイン、99.999%)を取引契約とする日本の小売業では、結果的に欠品しないよう余分な在庫を抱える必要があります。また、メーカー欠品についてもベンダー間での力関係が強い事業者に優先的に供給されるため、中間流通上の適正在庫量と呼ばれる97%に欠品対策分の約3%を加えた過剰在庫となるケースが多くあります。

その欠点を補い、物流効率化を図る方法として他ベンダーの商圏は維持しつつ、帳面上で在庫融通を行う在庫振替方式(伝票で赤黒精算する)もありますが、いずれにしてもITシステム投資と正確な情報は必須となります。その上、店頭陳列等で破損した商品をベンダーに一方的に返品する小売業もあり、ベンダー側に不利な条件で契約を結ばざるを得ないことがあることもVMI普及の妨げの原因となります。