オフィス鴻

インボイス制度の導入

2024年05月19日

個人事業主の方の中には、インボイス制度導入や電子帳簿保存法施行によりこれまで必要のなかった個人所得に関連する諸作業が増加している方が多いようで、未だにインボイス登録に関しては今後の事業継続について戦略性をもった視点から鑑みて登録しない選択をする方も一定数いるようです。特に給料・賞与・社会保険料等(人件費)の支払いでは消費税は非課税扱い(一部通勤交通費等は課税対象)ですので、インボイス登録した場合には売上高に占める人件費相当部分比率が大きいほど新たな消費税納税義務が生じます。

また、適格事業者発行の領収書についても殆どが10%課税になりますが、一部非課税(切手類などは消費した時点までは貯蔵品扱いで、使用した時点で勘定科目を振り替えて消費税を算出)のものや会議費(テイクアウト、自販機飲料の購入)、クレジットカード等での支払い分も個別に領収書(証跡)を揃えておく方が税務申告・調査時になどに問題にならなくて済むなど、最低限の会計知識を身に付けたり、事務作業が増えることは間違いなさそうです。当面は救済措置が取られることにはなりましたが、顧問税理士に依頼すれば相応の報酬が発生しますから、普段からお金の動きに対して記録(帳簿)を残すことや最低限の会計知識を知っておくことが自らの身を守ることに繋がるだろうと考えています。

企業業績でも、対売上高人件費比率が高い企業ほどBEP(損益分岐点)に大きな影響を及ぼすため、業務委託などを活用して固定人件費を低く抑える施策を選択することがあります。一方で、日本でも人的資本(資源)に関する19項目の情報開示を有価証券報告書に記載することが義務付けられ、企業の市場価値を構成する要素として、有形資産(モノ・カネ)より無形資産(知的財)が占める割合が増えてきています。その背景には欧米を中心に人が持つ能力や才能が企業の知的資産として企業価値や競争力に直結しているとの考え方がグローバル企業を中心に広がりつつあり、人材の価値を測ることは大変難しいですが自ら価値を高めるチャンスだと考えられるでしょうね。