オフィス鴻

コロナと不正ビジネス

2024年05月06日

新型コロナ禍で、複数の大手旅行事業者が本業の手数料ビジネスの不振をカバーすべく利益率の高いコロナ関連業務受託に際して、公正取引委員会が談合の疑いで調査委に入ったことが日本経済新聞の記事に掲載されていました。各社の不正受給発覚(人員水増し等)は以前から報じられていましたが、談合となると明らかに確信犯であり、旅行業界全体に蔓延していた可能性も指摘されています。もちろん、まじめに事業継続努力をしている旅行業者が多数だとは思いますが、不正で摘発された大手旅行会社(HIS系列;観光支援事業、ワールド航空;雇用調整助成金、近畿日本ツーリスト;過大請求、日本旅行;全国旅行支援、名鉄観光;雇用調整助成金)が挙って旅行業界の予約管理・接客等のノウハウを武器にコロナ関連業務受託で不正行為を行っていた構図に見えます。また、緊急事態下で自治体側のチェックがおろそかになる点をついた行為で殆どが再委託していた点(再委託先への不正強要の可能性)でも、完全にコンプライアンス意識が欠如していた事案と言えるでしょう。

内容は異なりますが、同じ旅行宿泊サービス業ではインバウンド消費の拡大を受けオーバーツーリズムが指摘される中で、世界に名の知れたヒルトン・ホテル&リゾーツが公式YouTubeチャンネルで同業者である日本の旅館業を比較して見下すような内容の動画を公開(既に削除されています)しました。そもそも、旅行者にとって料金が高く設定されている外資系ホテルはサービス内容やホスピタリティが一般的な旅館・ホテルよりハイグレードであるのは当然の話であり、旅行等の目的と予算に合った宿泊施設を選択することになりますから、異なるユーザーリクエストの比較を目的として動画を作成すること自体が常識から外れていると思われても仕方ないでしょう。

その他、人流が戻ってきている飲食業界でも倒産件数は増加していて、あるグルメサイトでは月額固定料金を望まない事業者の解約が増え、予約に応じた従量課金型への移行や新たな競合の出現(SNSでのダイレクト予約など)の影響などで業績回復に差がでているようです。