オフィス鴻

ステルス値上げの根拠

2024年03月22日

人手不足でも給料は上がらず、食糧品・光熱費など諸物価が上昇していくなかで、様々なところでステルス値上げが起きています。ステルス値上げとは、メーカーが商品価格を変更せずに消費者が気付きにくい程度に内容量を減らしたり、原材料を安価な代替品等に変更することです。また、最近は値上げ理由に物流費高騰を上げるメーカーも多いですが、少なくとも物流費高騰の影響が出るのは今年の夏以降だと思っています。また、数年前の話ですが、某味付け海苔(内袋に6枚入り)が何の表示や説明もなく5枚となったことに気付いた3人のお子さんがいる主婦の投稿(2枚ずつ均等にできない)が拡散され、その後メーカーが枚数ではなく大きさ(内容量)を小さくした形の商品に変更したケースなどは、まさしくステルス値上げに該当します。

また、1戸あたり1億円程度の都内のマンションは中には広さを狭くしたり、材料を安いものに変更するケースもあるようで、これも一種のステルス値上げと言えるでしょう。同じように、建物の管理業務会社側からマンションの管理組合に対して不採算取引を解約する動きもあるようで、運営が形骸化した管理組合では資金不足以外にも条件交渉ができる所有者(管理組合役員)がいないマンションなどは、いずれ老朽化とともに最低限のサービスさえ受けられなくなる可能性(スラム化)を示唆しているように思います。

少し視点は変わりますが、日本全体でみてもこの10年でほぼ全ての業種で人手不足が深刻化しており、所得が伸び悩む中でインフレが助長されています。特に、飲食業界・コンビニ業界はフランチャイズ中心に時短営業を行うようになり、宿泊業も稼働率を落として低価格競争を止めて新たにAI(システム化)によるフロントサービスの自動化やサービス品質向上へと舵を切る企業も現れています。さらに円安による外国人労働者の減少や輸入品物価上昇も相まって、コロナ禍を経て人手不足問題は新たなビジネスモデルへと変貌する局面に入ったと感じます。