オフィス鴻

ビジネスと微分積分

2024年04月02日

高校生の頃に授業で習った微分・積分、標準偏差などは、ビジネス実務に非常に役立つスキルですが、一方で自分の都合の良い方向性を有した資料作成など恣意的に使うことは難しくありません。例えば、プレゼンテーション、中長期事業計画、新規事業等ではマーケティング・品質管理などでは正規分布・標準偏差を使い、そこに相関係数や中央値・平均値・最頻値などの分析データを加えることで恣意的に導き出された数値を基に誤った経営判断に至るリスクがあります。また、微分・積分も変化傾向・未来予測などに活用できる重要な数学理論であり、数値や傾向に対する目利き・違和感への感度が高くなるよう、日常的に複数の視点から全体を俯瞰する能力として活用することができます。

1つの例として、味の素はF-LINE(出資食品メーカー;味の素・ハウス食品・カゴメ・日清製粉・日清オイリオ)を活用したFSP(フードサプライチェーンプロジェクト)を小売業と協働した協議を始めています。具体的には荷積・荷卸待機時間を1時間以内にする、リードタイムをN+2にするなど運送2024年問題の次に来るであろう課題への対応ですが、小売業・卸売業のビジネスモデルおよび現場運用を十分に把握していなければこれまでのように総論賛成・各論反対となる懸念があると考えています。また、コロナ禍で給料30%減額、賞与ゼロとなったANAですが2千人以上がグループ会社や他社へ出向して凌いだことで、非航空事業での収益に対する考え方(1円単位)を本業に反映できるようになったと言います。

最終的には「自分の仕事にプライドを持って取り組む」ことを常に意識しておくことや相手に満足してもらえる努力を惜しまずに、データ分析の有効性・危険性を理解した上で定量的かつ納得性の高いビジネス指標(数値)を用い、定性的業務も論理的に伝えられる能力を身に着けることに尽きると感じています。