オフィス鴻

旅客機の代替着陸

2024年01月18日

昨年、福岡空港へ着陸予定便が門限オーバー(地域受民・行政との取り決め)となり、北九州空港へと代替着陸する事案が、国内線・国際線ともに発生しました。通常、旅客機搭乗の際は必ず代替空港または搭乗空港への引き返しの可能性について航空会社と乗客との間で旅客運送契約が成立していると見做され事前アナウンスが行われます。フィリピンのセブ・パシフィック航空のケースでは、ゴーアラウンド(天候等による着陸のやり直し)と北九州空港の税関・入国審査・検疫・機体整備などの体制が整わなかったことから、機長(または航空会社)の判断で北九州空港での7時間の機内待機を含め再度マニラへと引き返したそうです。一部報道では、LCC特有の事情(必要最低限の燃料搭載、補償など)や福岡国際空港側(昨年10月からコンコースの延伸など)があるとしていましたが、国際線対応が可能な空港(関西・中部など)への利用選択ができなかったのかと素人ながらに思います。

また、その数か月前にも複数の日本航空国内便が他空港へと代替着陸と搭乗空港へのUターンする事案があり、福岡空港への離着陸に関して何らかの不具合(人員不足、空港施設など)やリスクヘッジがあった可能性もあります。世界の航空会社の中で高い定時運航率を誇る日本航空とANAですが、観光立国を目指す国策の要であるインバウンド観光客誘致という面では、現場の状況を正確につかめていないがための、準備不足の部分も少なからずあるのでしょう。また、LCCを利用する海外からの渡航者は、このようなリスクを正しく理解した上で低価格を選択しているのかは不明です。

一昨年、羽田空港の離発着枠を増加するため、都内上空(世田谷・渋谷など)の飛行空域緩和が行われました。元々、アメリカ軍の航空管制をベースに定められた空域がこれまで利用されてきたことを鑑みると、最適な飛行経路設定と利便性と引き換えに一部地域で騒音問題が起きているようです。また、日本各地で同じような問題を抱える空港も多いようで、オーバーツーリズム問題を含めて観光行政のありかたが問われている気がします。