オフィス鴻

日本のGDPの実態

2024年05月13日

某野党が政権与党となった時、事業仕分けといういわば適正予算を検証する場で、スーパーコンピューターの性能について「(世界で)2番ではだめなのでしょうか?」といった趣旨の議員の発言に対して各方面から様々な声が上がりました。その国の民度が問われているような発言に対して少し違和感があったことを覚えています。1番になるためには、相応の努力・忍耐・資源・環境などと、いわゆる「時代の要請」が重なる必要があるなど、いろいろな条件が揃ってこそ実現できるものだと考えています。

日本もこの30年の景気停滞の影響で、名目GDP(国民総生産)が第3位から4位になるそうですが、コロナ禍の影響が減少してきたことと円安により企業収益が増加した製造業が決算発表等で多くなりました。しかし、公益社団法人日本経済研究センターの調査では、国民1人当たりの購買力平価を基準としてGDP比較すると、既に世界で20位あたりだと言われています。その原因は、円高によって海外へと多くの製造業が生産拠点を移したことで国内産業の空洞化を招いたことが一因であり、その後の長期円安傾向と生産性の低さが指摘されています。特に知的無形資産は他国に比べて少なく、高齢化社会の中での生産年齢人口比較では未だ上位に位置していますが、他国も高齢化社会が直前に迫ってきていますので、潜在的労働力を加えた日本の経済復活の可能性は十分あると考えられます。

なお、経済政策(経済発展や物価対策)は政府の役割ですから、最低賃金大幅UP、扶養制度(第3号被保険者制度、配偶者控除など)の改定などでGDPや税収・社会保険料負担は増えても、インフレやエネルギー不足・高騰が進めば国民生活はさらに厳くなると予測されます。なお、海外諸国との政策の単純比較は難しいですが、将来への投資(脱石油、イノベーションなど)と政治家の不正温床撲滅をしない限りは夢物語なのかも知れませんね。