オフィス鴻

起業と初期資金計画

2024年12月17日

政府統計ポータルサイトによれば、初期投資が少なくても法人設立ができるLCC(合同会社)が日本には約11万社あり年間3~4万件新規登記されています。出資者(株主)と経営(取締役)の役割が分離されている株式会社に比べて、合同会社は出資者が会社の経営も行っていく点が大きな違いです。また、役員・役職の任期はなく決算公告は不要といったような機動性の高さがメリットとなる一方で、企業間取引・金融機関等への信頼度という面では劣ることも事実です。そのため、一定規模以上の売り上げになって事業拡大を図る場面では株式会社へと変更することも検討できます。更に個人事業主が合同会社を設立するタイミングは、概ね年間売上高1千万円(所得換算で6百万円が目安)あたりがメリットを享受できる時期だと言われています。

時折書店で開業に関する書籍を見つけますが、初期費用は予想以上にお金が必要な場合があることも念頭に置いた上で起業する(最悪のモデルケースも想定しておく)のが良いでしょう。既に取引先から一定の収入が見込めるのであれば比較的少ない金額で済むのですが、新たな販路を開拓するには相応の販促費(広告宣伝費・活動費等)も欠かせません。その上で、リスク管理の1つとして生活習慣を見直し無駄なお金は使わないようにするなど、その方のライフスタイル自体を見直すきっかけにもなります。企業に所属している間は、余程のことが無い限り給料の範囲内で生活レベルを維持していくことができますが、LCCを含む経営者を目指すなら一旦生活レベルを落として企業経営の一端を経験することができます。ただし、無理な節約は長続きしませんのでQOL/LWBなどを総合的に判断して行動することをお勧めします。

また、決算業務も税理士任せにせずに可能な範囲で月次決算書を自分で作成すれば、経営に対する経験値も高くなり感度も上がってきます。もし、新たな投資が必要になった場合には金融機関に対して、自分の言葉で説明できるようにしたいものです。