オフィス鴻

転売ビジネスの闇

2023年11月22日

新商品や趣味グッズを買いあさり、高値で転売するビジネス(法的に問題がない前提)が成立するのは、そこに高値でも購入する消費者がいることに他なりません。実際にせどり(転売)を行う上で違法となるのは、コンサート等のチケット(「特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律」)、本物と誤認させた偽ブランド品(商標法第78条)、酒類(酒販免許を持たない場合)などに該当する行為です。あえて法的に問題がないと記載したのは、仕入れと売却を繰り返して利益を上げる転売ヤーは古物商に該当しており、古物商許可(所轄の警察署)があれば個人の所有物以外でも、他者から仕入れて販売することができるからです。

また、不正品(盗品や偽造品など)などの流通を取り締まるため、古物商には取引相手の本人確認義務、不正品の申告義務、帳簿の記録義務がありますので、もし心配ならば居住地所轄警察署の生活安全課で確認しておく方が良いでしょう。そのほか、フリーマーケットアプリを提供するメルカリなどの事業者は、直接古物を売買・交換、委託売買・交換をせずその場を提供しているだけなので、古物商には該当しません。つまり、古物売買を営業行為としているかが判断基準になるようです。

それでは、なぜ転売ヤーを必要とする人たちがいるのかですが、生活必需品(販売店によって価格の違いはあります)を手に入れることはネット通販等を利用すれば簡単です。一方、コンサートチケット、数量限定グッズ(スニーカー、アニメなど)などの個人の嗜好品を手に入れやすいのは都市圏(主に東京)であり、仕事や障害等で買いに行けない人、地方に住んでいて近くでは販売していない人にとっては、高価でも手に入れたいのでしょう。最近はロレックスの中古品が生産の一時停止の影響を受け異常な高値で売買されていました。需要と供給の関係性で売買が成立するので、限定品が抽選方式などで公式販売されれば地域格差問題はなくなったとしても、推し活者には関係ないのかもしれませんね。