オフィス鴻

ブラック労働者(地位確認請求)

2024年01月12日

企業の人事部門では解雇該当事由が生じたときは、規程・証拠・証言等に基づいて普通解雇(能力不足、勤務成績不良、病気による不就業など、労働者側に理由がある)、懲戒解雇(労働者側に責のある規律違反に対する懲戒処分の1つ)を実施しますが、会社による解雇は労務問題の中でも多くの労力と時間を要します。中には、会社から金銭を出させるために故意に解雇されるように仕向け、複数の企業を渡り歩く者もいます。

民法第536条第2項に「債権者の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は反対給付の履行を拒むことができない。この場合において、債務者は、自己の債務を免れたことによって利益を得たときは、これを債権者に償還しなければならない。」とあります。これは、労働者側が解雇処分を不服として労働審判や地位確認訴訟を起こし訴えが認められれば、解雇後の毎月の賃金支払いを請求できる権利(バックペイ)が認められていることを意味しています。もし、会社側に責があれば当然にバックペイを支払い、当該労働者を職場に復帰させる義務が生じます。

しかし、会社が徹底的に労働者と争いたい場合は別ですが、何らかの理由で一度解雇した労働者を職場復帰させたくない場合が殆どで、その場合には退職を前提とした和解案(合意書等による金銭の支払い、秘密保持等)を提示することが多いです。この方法であれば、企業に100%責任がないことを立証(反証)できなくても、または責任があることを認識していたとしても、双方の合意を前提として時間と費用(例えば、バックペイの相殺減額など)を掛けずに処理することが出来ますが、職場内で新たなブラック労働者(元同僚)と対峙するリスクもあります。人手不足とは言え、他社で不採用となった方の採用には労働法をしっかりと理解した上で、試用期間中の解雇を含め慎重を期すことが肝心だと思います。