オフィス鴻

一体感醸成と生成AI

2024年05月02日

最近は生成AI等の登場で新たな働き方を目指すリスキングが一種の流行ですが、政府は在職中の教育訓練には有給消化の必要があるため、新たに失業給付の上限額の倍にあたる1日最大1.7万円の給付を閣議決定しました。リスキリングでもプログラミングなどのITスキル習得やマネジメント手法などが中心で、生成AIでは困難とされる人間ならではの創造性が重要視されてはいないようです。つまり、創造的な仕事をするための環境づくりが追いついておらず、例えやりたかったことへの挑戦や人生を楽しいものにするための働き方としての創造的な仕事は生成AIが発展しても残りますが、一見ムダとも思える人間でなくてもできる管理やサポート的な仕事(作業)はAIの得意領域ですから、いずれは置き換えられていくことでしょう。

また、テクノロジーの進歩は人間の働き方を重労働(農業などの作業系)から解き放ってより労働負荷の軽い事務系作業にした反面、日本では解雇規制の厳しさからあえて無駄な仕事を残して雇用継続することも行われてきました。その中でも、言い方はあまり適切ではありませんが、もっともらしい資料作りがメインであったコンサルティング業務も定型フォーム化・自動化が進んでいます。今後はコンサルティングの依頼元企業とともに、現場の改善が完了するまで寄り添うような経営でなければ激しいクライアント競争の中で高収益を生み出して生き残るのは難しいように感じます。

その一例として海外(主にアメリカやヨーロッパ)ではCEOが一般従業員に変装して、現場の実態や課題を把握して経営に反映する覆面リサーチが行われることがあります。日本でも就職面接日にトップが社内清掃係に扮装して応募者の人間性を見る企業もあります。そこには、現場従業員との共通体験を通じて山積する課題解決へのヒントと、従業員との心の距離を縮め必要とされていることへの感謝となる相乗効果があると言います。経営幹部の来訪時に、従業員に腫れ物に触るような対応をされるようでは決して企業経営者と従業員との一体感は醸成できないでしょう。