オフィス鴻

世代交代と格差是正

2024年01月08日

リクルートワークス研究所の調査では求人倍率が1.7倍と新卒者採用は超売り手市場といわれています。編集人の大卒新規採用活動はバブル景気崩壊の足音が聞こえ始めた1990年代初頭でしたが、まだ企業選択肢は多かった時期でした。今では、当時と現在の人気企業・就活スタイルなどは大きく変わっているにもかかわらず学生間の内定数格差(就活性の二極化)は厳然として存在しているようです。その要因の一部として採用基準自体は決して低くなっている訳ではないこと、AI進化により将来的な事業・従業員構成に必要な人材(特に理系)に対する需要と供給がアンバランスであることが挙げられています。また、文系でも課題解決能力などに優れていれば複数の内定を早々と決める学生も多いと聞きます。

また、別の視点ではダイナミックワークスモデルへの転換が遅れた企業でも、自由度や柔軟性を優先するミレニアム世代が労働力の過半数を占め、さらにZ世代が職場に参入するようになります。そのような労働者人口構成の変化に対応するにはフレキシブルな働き方の提供が高い能力を発揮するのに必要だとも言われています。一方で、キャリアアップという大義名分の下での若年層の労働力移行(短期離職)が全労働者にとって有効な選択肢となる訳ではないため、企業側も団塊の世代が享受できた恵まれた長期雇用の弊害(固定費化・非効率生産性など)を踏まえて、外部から専門スキルをもった人材を必要に応じて調達する動きも加速しています。実際に編集人も外資系企業から特定案件に対する専門家として短期サポート・助言の依頼が少なくありません。

さらに、エッセンシャル・ワーカー不足の深刻化、主に氷河期世代や子育て中・子育て後の女性の非正規社員化、老々介護・80-50問題・ヤングケアラー問題など日本社会に存在していることは事実ですから、少なくとも最低限のソーシャルネットワーク構築と最低賃金を上げるならば全ての労働者が同一労働同一賃金となるような労働行政と企業運営が必要だと感じます。