オフィス鴻

人材ポートフォリオ

2023年10月05日

ここ数年、各社の公表した事業報告書(有価証券報告書)を読むと、コーポレートガバナンス・CSR・事業継続リスクなど、収益性以外の開示が増えています。企業内では、生産性向上、多様性の受け入れ、女性の活躍機会(管理職登用・賃金格差)、人手不足(将来性が期待できる新卒採用)などが戦略的かつ義務的に議論されることも増えました。そのほかジョブ型雇用、デジタル人材育成、中高年者のリスキリング、DX導入などを検討する企業も増加傾向にあるようです。

編集人は、現場の実態と本社の企画・戦略に合理的整合性が無い人事ポートフォリオにより、生殺与奪権を持った経営層が好き嫌いなど感情的なものや、政治的判断が意思決定に大きく影響を与えるケースをたくさん見てきました。つまり、次世代の要員計画が人事管掌部門の名のもとに、現場の実態と合わない不合理な理由を含めて行われているケースが少なからずあるのだと考えています。もちろん、企業方針と一致した選択であれば問題ないのですが、人事部門の能力次第では人事評価数値と異動理由に説明できない乖離が起き始めるため、離職率の数値以上に本当に貴重な人材を失う結果となりかねないと思います。

人材が自律的に育ち定着して力を発揮する企業風土があれば時系列の業績指標に必ず反映されてくると思う一方で、人事部門が従業員に納得できる具体的理由を伝えられなければ、優秀な人材ほど他社の魅力に惹かれて転職していくでしょう。最悪のケースは経営層の意志が正しく伝わらずに背面服従で現場と本社が疑心暗鬼になることですが、管理職の言動を観察していれば、経営のどこ(誰)に何の問題があるのか、社外の人ほど客観的に「この企業と取引継続すべきなのか」というビジネスの根幹に関わる重要な判断材料となりうるので、担当者(責任者)の交代時に従来の取引内容が大きく変更されるリスクが高まるのだと思っています。