オフィス鴻

法人設立と納税義務

2024年02月14日

フリーランスの方の中には、インボイス制度導入や事業規模拡大、信用力アップ、節税などのために将来的に法人化を検討している方も多いでしょう。最近は、株式会社に比べて設立費用も少ない合同会社を設立する方も増えているようですが、法人化により組合健保より高いケースが多い上に社会保険料は会社負担分を含めて2倍になり、さらに前年度の利益を基準とした予定納税(税金の前払いで、最終的に決算確定後に精算される)もあるため、事業計画と資金繰りをしっかりと把握してから法人化する必要があります。特にインボイス制度は、取引先の事務負担がこれまで以上に大きくなり、公正取引委員会による監視があったとしても対売上人件費割合が高い(経費が少ない)場合には、納税額も多くなる傾向にあります。

また、法人化すると税務にある程度の知識がある場合には青色申告などの恩恵(申請が必要)が受けられますが、専門家(税理士等)へ委託すれば毎月数万円の業務報酬を支払うことになり、収入(所得とは異なる)が減少することもあり得ますし、制度に対する説明不足や益税(殆どの事業者は経費や簡易課税制度等を利用して消費税を支払っています)という言葉自体が混乱を生じさせている原因のように思います。反対意見はフリーの俳優、声優、ライター、農業関係者などに多いようで、職業選択の自由が憲法で保障されているのと同じく納税も国民の義務の1つですから、もう一度最初からこの制度の主旨を考えて行動する必要があると思います。

例えが適切でないかも知れませんが、名前が売れて相応の報酬を貰えるまでは、アルバイトを掛け持ちしてきた(恐らく社会保険料・税金は勤め先が納めているでしょう)という芸能人の方の話を聞くことがあります。インボイス制度自体は徴税コストの削減と公平性担保が目的ですから、納税自体は小規模事業者いじめとは異なるように感じます。ただ、この日本経済低迷期に実施することに疑問がありますが、最近のインフレ・賃上げ等から中長期的な観点で取り組むべきものだと思います。