オフィス鴻

社内ベンチャーキャピタリスト

2023年12月16日

スタートアップ企業が世の中に新たなテクノロジーを送り出すには、伴走するベンチャー・キャピタリスト(日本にはまだ数百人程度)の存在が不可欠と言われています。編集人も、これまでいくつもの社内起業、合併、清算に携わってきましたが、さまざまな価値観・文化と倫理観の狭間で悩み藻掻きながらも、起業~収益力~後任者へのバトンタッチ(エグジット)まで含めて胸を張って成功したと言える社内起業は20年間で3事業のみです。金銭面(出資)のリスクを負わない代わりに事業構造改革の一環として前任者の汚点(失敗)を拭い去る作業では、相手方が経営者としての資質に欠けている場合や、ファクト(事実)とエモーション(感情)が混在した状態の中で、お互いの本音をぶつけ合える関係性にまで到達するのは容易ではありませんでした。

日本にも幅広い産業でスタートアップ企業は存在しますが、医療・金融・物流・金融などのスペシャリストが新テクノロジーにより新たな価値あるイノベーションビジネスを産み出すことは容易ではないと感じます。日本政府も2027年には10兆円規模のベンチャー投資を支援する目標を宣言しましたが、特に経営を全力で支え伴走する熱意を持ったキャピタリストの必要性を起業家が認識できなければ、普通の起業とあまり変わらないのでしょうか。

これからの世代の若い人達が、コンサルティング・ファームや大手企業と同じくらいベンチャー・キャピタル・ファンドにも目を向けてくれている現実もあるようで、その面でも国籍・性別・思考・年代などが違う仲間が集い競い合う社会になれば、起業家の知恵を現実のものにするベンチャー・キャピタリストという職業は、非常に魅力的に映ります。もちろん、相応の覚悟と高い専門的技量・能力は必須ですが、もし編集人が新卒就職活動中だとしたら、選択肢のど真ん中にある職業だと思います。