オフィス鴻

第3号被保険者年金

2024年05月18日

日本の年金制度に対しては様々な有識者等から意見が出されていますが、その中でも第3号被保険者制度(夫が厚生年金に加入している場合に認められる、年収130万円未満の働き方を選択した専業主婦を対象とした厚生年金)対象者が離婚・夫との死別・高齢化などに直面したときに低年金で生活に困窮してしまい、最終的に生活保護に頼らざるを得ないケースが増加しているようです。現在は、日本全国で約700万人が対象となっていていますが、共働きが主流の現在とは違い女性の社会進出より出生奨励が優先されていた時代の名残とも言えるでしょう。また、日本年金機構等のモデルケースは夫婦二人合わせての年金受給が基準となっていますので、これから年金受給が開始される世代に比べて非常に恵まれている80歳以上の高齢者(納めた年金総額に対する受給額の割合が数倍高い)でさえも老齢基礎年金だけでは生活が出来ず、衰えた体力の限界まで働かざるを得ない方もいるようです。

ここで、少子化問題や世代間不公平を論じることはしませんが、少なくとも年金制度とともに政府が行っている給付金・ベーシックインカム(生活保護も含む)についても、国家財政が破綻する前に対策を講じる必要があると思われます。また最近の働き方改革の動向を見ていると、これまで目を閉じてなるべく直視しないような状態で先送りされてきた年金問題ですが、少しずつでも改善が行われています。個人的には、厚生年金保険料率は18.3%(半額は会社負担)でいずれ値上げする必要があるとしても標準報酬月額の上限が65万円(最近まで62万円でした)ですから、ここを健康保険料の標準報酬最高額(139万円)に倣って更に引き上げることも検討すべきかとも思います。

なお、今年の春闘で大幅な賃上げを実施した企業が多数ありましたが、特に若い世代に厚く配分している傾向があります。なお、2040年頃までには恵まれた年金生活者数が減少傾向に転じるとの試算もあり、政権与党が票田の中心である高齢者層への厚遇を続ける限り日本の将来像への翳りが色濃く残るだろうと想像しています。