オフィス鴻

非正規公務員(会計年度任用)

2023年11月13日

総務省の資料では2020年度と少し古い(コロナ禍の影響前)ですが非正規地方公務員は全国に約70万人おり、幅広い人材採用のために再任用を原則2回までを限度とするよう努めるという1年任期の会計年度任用職員制度が導入されました。雇用継続には新たに公募試験を受けて合格・任用される必要があり、必ずしも雇止めの必要はないと説明されています。また、国家公務員は3年、民間を含む研究職は10年(民間は通常は5年で無期雇用を労働者が選択できる無期転換ルール)ですが、複数の研究機関や大学等でいわゆる「雇止め」に関する訴訟がいくつも起こされていて、一部では判例も出てきました。

特に労働契約法が適用されない地方公務員・国家公務員はスト権等と引き換えに、組織(国の機関)に対する訴訟のみ(地裁)が認められていますが、Drポストの少なさから非正規雇用専門職を抱える大学等も国立大学法人化による構造改革が求められ、特に就職氷河期に正規任用されなかった世代を中心にこの問題に直面しているケースが多いとの報道もありました。

なお、民間企業で人事部門を一定程度経験していれば、必ず労働契約法第19条の「雇止め4法理」にある「客観的かつ合理的な理由がなく、社会通念上適当でなければ、雇止めは認められない」ことは広く認識されています。編集人がこの問題に触れたのも、初めてハローワークで求人活動を行うにあたって調べていくうちに、市民の暮らしにかかわる問題に寄り添う立場となるべきハローワーク相談員の6割が非正規職員であり、次会計年度の定員数があるため一定数は更新なしとなることを知ったからです。そのほかにも保育士、司書、各種相談員など経験や専門知識が必要な職務で継続的に再任用されている方は、一定の条件を満たした場合には民間の「無期転換ルール」に相当するような制度(単年度任期ではないものなど)を検討することで、公共サービスの安定的提供かつ業務品質の向上が望めるように思います。