オフィス鴻

AIリーガルテック

2024年05月02日

日本経済新聞の調査では、国内主要企業の80%がクラウド上で締結(押印・署名)できる電子契約人工知能(AI)を活用しているそうです。その中でも、小売業・建設業など定型的業務契約(雛形)では利用頻度は高いものの、業界特有の商慣習がある業界や与信管理上の特記事項などは難易度が高いことから機能拡充を進める余地が大きいと思われます。つまり、AIの得意分野と人間の能力を必要とする業務内容に大別されるのですが、そのほかにも弁護士法への抵触懸念など解決すべき課題も多いようで法テック(リーガルテック)のあり方に対する議論が今後盛んになることが想定されます。

また、印紙税法第3条では印紙税の課税対象は課税文書と記載されていますので、これまでは契約時に収入印紙を貼ること(印紙税を収めること)は当然であったものが電子文書においては印紙税を納付する必要がないため、かなりの経費削減に繋がります。ただし、電子帳簿保存法などの法律と同期させる形で、タイムスタンプの付与、取引年月・取引先名・取引金額による検索、システム上での保存(7年間)などを行う必要がありますから、費用対効果の面で中小企業での導入は足踏みする可能性も考えられます。そのほか、社内稟議手続等で書面契約では概ね1ヶ月程度の処理時間を要していますが、立会人型電子契約サービスでは契約締結用URLが記載されたメールを相手方に送付することで契約業務を完結でき、契約業務のリードタイムを最短即日に短縮することも可能です。

なお、最近のIT化の流れで法改正も多くなっていますから、最新の法律に失念することなくアップデートできる点も大きなメリットと言えそうです。いずれにしても法務部門によるチェック作業が効率化される一方で複雑な契約案件も多くありますから、内容に対する理解が難しい契約については法律の専門家である顧問弁護士等に依頼するなど相手先を含め自社に最適な組み合わせを鑑みてシステム導入の範囲や必要性を検証することが重要かと考えます。