オフィス鴻

ラストワンマイルモビリティ

2024年04月21日

2016年、改正国家戦略特区法成立に際して衆議院にて「いわゆるライドシェアの導入は認めない」という付帯決議が採択されて以降、国土交通省が「ラストワンマイルモビリティ」という言葉でライドシェア検討を進めてきた経緯があります。そこには、白タク行為を禁じる代わりに旅客運送事業者に対する厳しい参入審査との矛盾、既存権益との利害関係調整やタクシー稼働台数の減少・乗務員の高齢化等により移動難民が増えた現状、国土交通省自体がインバウンド需要に対応できない現実を認めざるを得ないためだと思われます。

昭和のバブル景気(1980年代後半)時には、夜の繁華街は長距離以外の乗客に対して乗車拒否(正当な理由が無い場合は違法行為)するタクシーも多く、タクシー会社への予約回線は常に満杯で殆ど繋がらない状態でした。また、当時の東京タクシー近代化センター(現東京タクシーセンター)では苦情が入ると、当該タクシー事業者・乗務員への指導が行われていましたが、バブル景気崩壊後は逆に稼げないタクシー乗務員が増え、駅や繁華街に客待ちのタクシーが多くなった記憶があります。最近は、東京近郊の大手タクシー会社では横柄な態度をとる乗務員は見かけなくなりましたが、それでも一部で70歳代とおぼしき乗務員の運転技量の低さに恐れを感じることがあります。

その他、ホテル・医療機関などで特定のタクシー事業者と契約して構内で待機させたり、アプリでの配車が浸透(生産性・効率性の大幅向上)していることで1日の売上(24時間稼働、歩合給は概ね売上×60%)で100万円を超えることもあるなど、待遇の良さに惹かれて新規大卒者、トラック業界からの比較的若い層の転職者が増えたと言います。また、全国タクシー・ハイヤー連合会でも「日本型ライドシェア」を地域・時間・雇用契約などの厳しい条件を附して、特に観光地や地方過疎地を中心に認める方向にありますので、一時しのぎではない立法・施策を進めてほしいと思います。