オフィス鴻

オーバーツーリズムと日本文化

2023年11月16日

コロナ禍による移動規制解除、円安等による海外からの渡航観光客急増により、本年6月だけで200万人の訪日観光客数を記録しました。日本経済にとっては、来日観光客による購買・食事・宿泊・移動関連支出は、主に観光業を中心に恩恵をもたらしましたが、一方で公共交通機関の利用が難しい地域では一般旅行客の移動にも支障が出ていると言います。編集人の居住する首都圏ではTAXIのスマホ予約が普及しており、10分程度でタクシーを利用できますが、大学病院への入院時には3日以上前からタクシー会社へ事前に予約を入れて移動手段を確保するようにしています。

人手不足以外の原因も多重となった京都では一般市民が利用できないほど市内のバスや観光施設が混雑しており、オーバーツーリズムの悪い面が目立つようです。また、観光客の満足度以外にも市民生活にも支障が出るなど、京都以外の有名観光地でも様々な支障が出ているといいます。一時期、閑散としていた渡月橋が人で溢れかえっている報道などを見ると、隔世の感があります。また、日本の誇ってきたアニメ文化の影響による聖地巡礼(アニメや映画などに登場する駅舎等)ではSNSを活用して訪れてくれる観光客が増える一方、一部観光客のマナーの悪さ(ゴミのポイ捨て、私有地内への侵入など)も問題提起されており、今後政府、行政、市民共に知恵を出し合って解決していくことになるでしょう。

また、解決策の1つとして先進国で普及しているライドシェア(Uberなどの相乗りマッチングアプリ)導入はタクシー業界の猛反対で進んでいないと言われます。語弊はあるかもしれませんが、非営業車(白タク)が料金(謝礼)を収受する以上、最低限の安全確保と緊急時対応スキル認定が必要であり、第二種運転免許に相当する日本流の制度設計(例えば、トラブルの多い場合は違反行為と見做してペナルティを課すなど)が必要だと感じます。