オフィス鴻

カジノ依存症の治療

2024年02月07日

昨年9月、警視庁は大量のオンラインカジノ利用者を単純賭博容疑で書類送検し、動画サイトでプレイの様子を配信したYouTuberと決済代行業者を常習賭博で逮捕・送検しました。これ以前にも摘発される者がいましたが、利用者の誤った認識(罪を認めなければ逮捕されないというグレーゾーン)とコロナ禍による自宅待機等や決済手段の多様化により利用者が増加しているという社会的背景もあるようです。ただし、SNSの普及で利用者の勧誘を行うアフィリエイト業者(繁華街の客引きのような存在)は違法行為の立証が日本国内法での賭博罪適用が困難であることなど、今後の法整備が必要となるでしょう。

このオンラインカジノの怖さを世に知らしめたのは、山口県阿武町で行政がコロナ給付金4,630万円を誤送金した個人が全額をオンラインカジノに使用した事件ですが、最終的には刑事事件としては電気計算機使用詐欺罪で有罪判決となり、民事では決済代行業者がほぼ全額を行政に返還するという意外な結果になりました。この時の行政側の対応も報道されましたが、正直杜撰すぎるなと感じたことを覚えています。また、東証一部上場(現在の東証プライムに相当)企業の代表取締役が、会社の資金を海外カジノで使い莫大な損失を出してましたが、資金管理担当がコンプライアンスを理解していれば最小限の被害で済んだと思います。いずれにしても「ギャンブル依存症」という深い闇の中にあるような人生の落とし穴が身近にあることは知っておき、特にネット社会の利便性に隠れた闇の部分には気を付けておきたいものです。

なお、神奈川県横須賀にある独立行政法人国立病院機構久里浜医療センターでは、様々な依存症治療が行われています。時には周囲の人を巻き込んで社会生活破綻をきたす依存症ですが、最終的には本人が依存症であることを自覚することができれば、ある程度の割合で完解できる可能性があるそうです。最近は新たにゲーム依存症患者が増えているそうで、自己管理の難しさを感じます。