オフィス鴻

シャウブ勧告と税制

2024年04月03日

編集人が生まれる以前の1963年までは、財政法第4条(1947年)「国の歳出は、公債または借入金以外の歳入をもって、その財源としなければならない」とする租税3原則とがあり、一般財源への国債充当はしていませんでした。また、国税庁のHPには「シャウブ勧告」の説明が載っており、戦後日本における長期的・安定的な税制と税務行政の確立を図るためにシャウプ使節団が1949年に来日、税制合理化と負担適正化が図られるよう勧告書を提出したとあります。

この勧告書では基本原則として所得税を税制の根幹に据え、基礎控除額を引き上げて負担の軽減を図ると同時に、その減収分は高額所得者へ富裕税として課税されました。また、申告納税制度の水準の向上を図るための青色申告制度や、容易で確実な納付のための納税貯蓄組合制度も導入されたと記載されています。一方、高度経済成長後の1988年政府税調「財政改革について」では赤字国債発行なく賄える税制改定を目的として、1989年から公平・中立・簡素の3原則で3%の消費税(1%は2.6兆円に相当)が導入されました。現在は標準税率10%(地方消費税相当分2.2%)、および軽減税率8%の税率が適用されています。また、消費税は特定の物品やサービスに課税する個別消費税(酒税・たばこ税等)とは異なり、消費一般に広く公平に課税する間接税であり、消費税法では非課税・不税取引も存在します。

海外(特にOECD諸国)では付加価値税(消費税)として、使用目的を社会保障制度維持などに明確化した上で日本に比べて高水準税率が適用がされています。真偽のほどはともかく、日本では消費税増税は選挙結果に大きく影響すると言われており、高額消費を謳歌できる高齢富裕者がいる一方で、限られた所得の中で将来の貯蓄に励む若年層や老齢基礎年金だけでは生活できずに生活保護を併行受給する高齢者も増加していることを考えれば、具体的解決策(食料品の非課税化、国内生産される生活必需品のクーポン配布制など)を示す政治家がもっと増えて欲しいと思います。