オフィス鴻

マイナ保険証の迷走

2024年02月03日

マイナンバーカード普及を進める政府ですが、保険証一体化運用についてトラブル・批判が絶えません。一般的に、新システム導入時の障害発生はある程度予見できますので、トラブル許容の限界を超える前に一旦システム運用を全面的に停止して、旧前使用していたシステムを復活できるようリスクヘッジします。今回政府がとった施策は、司令塔役の責任回避に見えるような縦割り行政の中での新システム移行実施により、デスマーチ(現場に負担だけを押しつけるシステム用語)対応を繰り返してまた新たなトラブルが発覚するという、個人情報を取り扱うにはあまりにもお粗末ともいえる対応に感じます。

日本の少子高齢化と社会保険破綻危機に対して、マイナ保険証が医療デジタル化推進の寄与に値することは間違いないでしょう。編集人のように特殊な疾患を抱える患者の場合、間違った情報や古い情報で治療を受けると、命の危険に直結します。最新の診療情報が全医療機関で齟齬なく共有されることが大前提としてあるのですが、「消えた年金問題」でも最終的に紙の給与明細書が証跡書類に使用されるなど、今でも尾を引いています。医療情報が数十年分(つまり一生涯の記録)デジタル化されるメリットは大きく、最近増加している外国人の医療費未払い問題や整骨院の不正請求問題なども含め、やみくもに何にでも反対するのではなく冷静に論点を整理すべきだと思います。

これまでも保険証未所持の場合の診療はいったん全額を支払い後日差額を返金するシステムが機能していますし、新システム導入でもまだ隠れた問題が見つかる可能性も否定できません。また、来年秋以降から、このシステム導入をしない・できない地域の医療機関の閉鎖も想定されますから、皆保険制度とはいえ「掛かりつけ医の推奨」とも矛盾が生じることになります。政府には現状トラブルに対する丁寧な説明責任を国民に果たした上で、再度マイナンバーカードのあり方について、時間ありきではない着地スケジュールを提示して欲しいと思います。