オフィス鴻

中古車販売業者のモラル

2023年11月24日

中古車販売大手のビッグモーター社の一連の不正問題は、民間車検場指定・自動車整備・不正車検(国土交通省)、保険金不正請求(金融庁)、街路樹伐採(各行政)、さらには労働基準監督署のパワハラ(厚生労働省)、事故車・水没車の詐欺販売(警察庁・消費者庁)など、この業界全体の闇の部分が徐々に明かされ、他業界をも巻き込んだ形で拡がってきました。中販連(日本中古車自動車販売連合会)が中心となり、消費者が誤認しやすい販売価格表示(支払実総額)を推奨していますが、数字のノルマに負われて不正行為に手を染めることは他業界でも存在しますし、そもそも不正行為であること自体を知らずに暗黙のルールで行っている従業員がいることもあると思われます。

これだけ多くの不正行為が認められた上に金融機関との交渉も不調となれば、各々の監督官庁・行政からの処分(許認可取り消し)が下されれば営業継続に多大な影響を与えそうです。創業家から新経営陣へと移行してもクリアするべき課題は非常に多いですし、前経営者が「自社の常識が世の中の常識と合っていなかった」旨の発言自体、そもそも会社の社会的信用が失墜している状況の中での発言とは思い難いものです。東証グロース上場のグッドスピード社(愛知)の不正行為も相次いで発覚しており、以前にはトヨタ系列、ホンダ系列でも不正車検問題がありましたよね。今後は公正取引委員会(下請法違反)が外注先・仕入先への調査に多く入るでしょう。

なお、損保ジャパン以外の大手損害保険3社(東京海上日動火災保険・三井住友海上火災保険・あいおいニッセイ同和損害保険)は、1月から自動車保険の保険料(アクチュアリ;リスク数理計算)を3%程度値上げしました。ここにも公正取引委員会から保険料や修理代金査定等に対するカルテルを指摘される可能性を見越して実施した感があります。車を所有すること自体、自動車税を始めとする諸税や、軽油引取税にも消費税が課され、自動車目的外での使用原資にされるなど、一番の被害者は消費者であると思います。