オフィス鴻

救急医療のモラル

2023年10月20日

総務省(消防庁)の統計資料では、日本国内での救急車出動件数は令和3年度で620万件、1日当たり1.7万件(約5秒に1回)です。コロナ禍では救急搬送依頼が急増していましたが、中には軽症者(自力通院が可能)やタクシー代わりの移動手段として利用するケースも含まれていたそうです。また、多くの国では医療保険に加入していないと病院の診察が受けられない(高額な治療費請求)ことは良く知られていますし、アメリカで救急車を使用すると1回8~10万円程度の自己負担が発生します。

編集人も、海外に行くときは必ず空港で医療保険に加入します。最近のクレジットカード保障は、約款で支払対象とならないケース(当該カードでの旅行代金決済が条件等)もあります。実際、編集人も怪我と感染症罹患で2回海外の病院にお世話になりましたが、医療機関で保険証券を見せるとすぐに治療を受けることができました。日本では最大3割負担(自費診療等を除く)での医療受診と引き換えに、年間40兆円(国民1人当たり35万円、65歳以上で60%以上)の財源が使用されています。

また、厚生労働相の資料では看護師就業者は全国で約130万人と微増傾向(子育て後の復帰など)にある一方、医師同様に地域・医療機関により偏在傾向が顕著で、全国では病院まで公共交通機関で1時間以上かかる無医地区が1千か所を超え、人口減少で更に増えると予測されています。特に秋田県のある地域では「医師いじめ」が続き、理由は分かりませんが医師を招聘できずに自ら地域医療崩壊を招いているようです。都市部では大学病院等の三次救急(生命に関わる重症患者)の救急搬送を依頼できますが、無医地区では更に患者数の減少、廃院・統廃合を進めざるを得ない状況の中で解決策の1つにAI知能を活用したオンライン診療、看護師へのタスク移譲などが検討されています。看護師全体の離職率は10%前後と他業種に比べて決して高い訳ではなく、看護師の必要性が再認識される中で、まずは医師の労働環境改善(業務量の多さ、報酬、専門的タスク移管など)がカギとなりそうです。