オフィス鴻

食事介護の訴訟リスク

2024年04月30日

広島県と愛知県の介護施設で起きた誤嚥による高齢者の死亡事故で、裁判では施設側がゼリー誤嚥防止措置義務を怠ったとして、原告側は施設の責任が認められたとして2千万円以上の賠償金が認められましたが、なくなられた方は認知症患者でご高齢(90歳代)であったことから、世間からは施設側を擁護する発言が多く寄せられたそうです。編集人も認知症の高齢患者と入院時に同室したことがありますが、食事の際に介護(食介)を必要とする方が多いと他の入院患者へのサポートが全て後回しにされたり、中には介助者(看護師・准看護師)に暴言を吐いたり、勝手に食べ始めたり、食べ方の制限を守らない高齢患者も数多く見てきました。

また、何等かの理由(自宅介護拒否や施設に入れないなど)で家族が看護師や医師に無理難題を吹っ掛けたり、退院や他施設への転院を拒否して長期間ベッドが空かずに本当に治療が必要な患者を受け入れられない状況も見てきました。いくら同じ事故を防ぎたいという気持ちで裁判を起こしたとしても、これだけの金銭賠償請求が普通となれば医療関係者・介護関係者の視点から考えると、法律に準拠しながら限られた経営資源の中で必死に病院・施設運営をしていることへの配慮や敬意に欠けている面があるように感じます。編集人を含む多くの入院患者も誤嚥が原因で肺炎にならないよう管理栄養士に症状・治療の情報共有をして頂くなど食事に相当気を遣っています。いずれ病院は医師法に基づいた適切な治療が終われば早期退院を促し、施設側では運営に支障のでる高齢認知症の方の受け入れを断わるケースも増えるでしょう。

薄給で介護職員が不足している中でさらに訴訟リスクにさらされる訳で、社会保障費の大きな高齢者医療の在り方について海外の事例(自分で食事ができないなら胃ろう治療をせずに自然にお見送りするなど)などから終末期医療のありかたも含めて早急に対策を講じないと、一部の身勝手な団塊の世代を含む高齢者医療が近い将来に現役世代の生活を破壊しかねないように感じています。