オフィス鴻

優しさの恩人(3)

2023年02月20日

編集人は優しさの恩人のある行動を見て、大変悔やんだことがあります。ある日の会議で経営者が、多くの事業所に共通するある課題を指摘されました。そして、会議から数日後に小生の席の傍にあるスペースに突然大量の資料をご自身で持ち込まれ、1件ずつ調べている姿を拝見しました。これは経営者の信念から出た行動であることは容易に想像できますが、その姿にあまりにも自分の非力さと情けなさ、そして組織の意思疎通に大きなギャップと課題があること感じました。

その業務自体は、上長が正しい判断をすれば、課長・係長クラスなら数日で分析できるレベルの営業データですが、その後の別業務で社内資料を分析していた時に、長年にわたる社内慣習があり、数代にわたり管理職が疑問すら感じずに引継ぎされたままの状態が続き、かなり恣意的なルールで報告されていたことに気付きましたその後は、出席する会議で必要だと思ったことは、例え自分の担当業務でなくても最低限の準備は優先順位を上げて進めていこうと改めて心に誓い、実行に移しました。

ここで、幹部社員には数年後に必ず訪れる後進へのバトンタッチという重要な職責に触れたいと思います。己の姿は何かに映った影や第三者的視点を介するすることでしか、己の目で直接見ることは誰にもできません。こと人事については不合理な個人的好き嫌いの色眼鏡を外しておくよう普段から心しておく必要があります。特に己の立場を利用した権力(例えば人事権)を見せつける行動や、合理性や配慮の足りない異動などを一度でもしてしまうと、その時点から信頼関係は崩壊して後戻りできなくなります。従業員は上長の行動を本当によく見ていますし、不公平感や不条理には非常に敏感ですから、一度壊れた組織に再び信頼を取り戻すことは容易ではないと経験上強く思います。