オフィス鴻

サービス有償化とおもてなし

2023年12月06日

アメリカでのチップ不要論争とは少し観点が異なりますが、日本でもランクが高い飲食店や宿泊施設を利用する場合、支払う金額に見合う、またはそれ以上のサービスを受けられる可能性は高いです。日本人の中には支払う金額以上のサービスを当然のように求め、それが叶わないと〇〇ログ等で低評価や口コミを投稿される方がいます。もちろん、ハズレの場合があることも事実ですが、海外ではチップ(日本なら心付け)を渡すか、お金を使ってくれる(利益になる)とスタッフが思ってくれたら、レストランで窓際の席(良い席)に通してくれたり、何かと気を掛けてくれるものです。

例えばリーズナブル価格(低利益率)で高稼働率(70%以上)を維持する宿泊施設では、見合った対価(料金)を支払っていないサービス要求(勝手にタダだと思い込んでいる)を、チェックカウンターや従業員にいくら文句を言っても対応できないのは当然だと思います。また、客商売である以上、こちらの事前リクエストや身なり・所作などの情報からある程度判断した上で、対応に差が出ることは充分あり得ると思います。飲食店でのソワニエ(上客)同様に、日本のおもてなし文化もスタッフの献身的で精神論に似た仕事(単なるサービス競争)と、親切心で対応してくれることへの線引きが理解できないと、勘違いした正義感によるSNS等での発信を行って、結果的に炎上などで相手方に迷惑をかけるのではないかと思っています。

お互いが気持ちよく思える良いサービスの提供には当然ながらコストがかかりますから、価格とサービスに納得したら自然とリピーターも増加するでしょうし、変なクレーマーも居なくなるでしょう。つまるところ、施設側(ホテル・レストラン等)がマナーや品性、思いやりの心などから受け入れるお客を選んでビジネスとして成立する経営方針にすれば、業界内でも高い賃金を支払うことができ、本来のおもてなしの意味が理解出来るのだと思います。