オフィス鴻

利他心を持った恩人(1)

2023年02月18日

40年以上前のことで記憶は曖昧ですが、日本国有鉄道の中央本線に乗り、松本市へ1人で向かったことがあります。当時、僅かな所持金で新宿駅始発の特急あずさの新宿駅~松本駅間の片道乗車券と特急券を買い乗車しました。実をいうと、「母親と一緒に家にいたくない」のと「特定のクラスメイトから理由のないイジメ(嫌がらせ)」にあっており、現実から少しでも逃避するための殆ど計画性のない家出でした。

その日に限って、信号機故障の影響で大月駅にて急行アルプスへ乗り換えることとなり、すぐそばに座っていらした40~50歳位の男性の方が中学2年生の自分に話しかけてくださったように記憶しています。自分は所持金もほとんど尽き、その男性が大月駅で「一緒に来るかい?」と言って弁当とお茶を買って頂き、グリーン車の隣り合わせに座らせて頂きました。たわいもない会話でしたが、随分と心が軽くなっていった記憶があります。

また車両には編集人とその男性以外に乗客の姿はなく、検札に来た車掌さんに「松本駅に親せきが迎えに来ているから、その時に不足料金を払います。」と伝えて了解を得ました。たたたま、松本在住の知り合いが中央線の車掌業務職に就いており、その方のお名前を出したところ車掌さんが同じ松本車掌区の方であったことが幸いしました。午後に松本駅に到着する予定は、夕方遅くの到着となりました。松本駅到着時に、未熟な自分は松本駅で降りたときにその方の連絡先(もちろん携帯・スマホなどはなく固定電話の時代)をお聞きすることができず、ただ「ありがとうございました」というのが精いっぱいでした。