オフィス鴻

日本の文化を伝える(2)

2023年06月14日

外国から日本に見えるお客様を魅了する要因の1つに、宿泊施設(ホテル・旅館)や飲食店等で提供されるサービス水準の高さ(料金以上の価値)への感動があるそうです。特に最近の円安で割安感が増しているようです。例えば、銀山温泉や箱根富士屋ホテルのような純日本風のサービスや、民宿などで地元の人とのふれあいを味わう経験などを楽しみにされている旅行者も多いようです。また、4月にはブルガリ系ホテルが丸の内で開業しましたね。最近では1964年の東京オリンピックに併せて開業した高級大型ホテルや旅館の改修も進められ、帝国ホテルはグローバルスタンダードの長期滞在型(コンシェルジュ)として京都へ進出、東京は2036年に建替えるそうです。

そして、コロナ禍が収束に向かいつつある現在、日本政府が目標に掲げる訪日客数もいずれ5千万人を大きく超えるでしょう。そこに、現代経済で盛んにおこなわれている「所有」「経営」「運営」の分離が後押しして、新たな日本のホテル文化を築きつつ、サービスの多様化、新たな日本文化の継承・伝統ができていくように思います。

一方で、日系ホテルならではの良さや強みがスタッフの顧客満足(喜んでもらいたい気持ち、やおもてなしの心)に頼りすぎている感があり、海外と違いサービスを賃金として反映しずらい国民性(チップや心付けなど)のためか、サービス業全体が「やりがい搾取」とも揶揄されることもあります。もし永続性のある日本流の観光立国を目指すならば、オ(ホ)テリエ(以前はホテルマンと呼ばれていた)や配膳担当者への適正なサービス対価として、サービス料(一般的に宿泊料金の10~20%程度が多い)を適正配分して賃金に上乗せすることが、旅行サイトでの安売りからの脱却や、サービス業や宿泊・観光文化を更に良い形へと進化させることに繋がると考えています。