オフィス鴻

AIタレントの登場

2024年02月28日

2000年代にバーチャルアイドルとして初音ミク(声優;藤田咲氏)というキャラクターが誕生したことで、バーチャルシンガーとして国際的に活動したり、アニメ・漫画・キャラクターグッズ(フィギュア)など海外でも広く知れ渡っているボーカロイド文化(音声合成技術を利用した楽曲のこと)として世界中に広まっています。そして、ついに来たと言うべきなのか、最新のAI技術を用いて製作されたAIタレントが飲料系企業のTVCMに登場しました。しかし、生身の人間と異なる違和感や嫌悪感、タレントの仕事が奪われてしまう可能性、著作権・人格権など、多方面への影響が指摘されています。

従来は、タレントに特殊メークやCG技法を用いてメッセージを表現していましたが、いずれも商品イメージの遡及意図と演出方法(ストーリー性)などがAIタレントの方が適していると判断しての起用だったと言います。実際に知らない商品への有名人キャスティングはタレントの個性やイメージにより購買へと導く「ハロー効果」がありますが、クオリティーの高いコンテンツと出演料・スキャンダルリスクとは無縁であることを含めて優秀なツールだと考えられます。一方で、昨年アメリカの多くの脚本家が加盟する全米脚本家組合が、映画やテレビ、配信作品の製作者たちの団体、映画製作者協会を相手にストライキをしたことが報道されました。著作権やAIの基となる学習データに使われた人の権利問題の議論が不十分であり、自分たちの著作をAIの学習に使わないルールの構築を求めていたそうです。そこには、AIを使用することが脚本料の値下げ要因(安く作成できる)となり、脚本家たちの仕事が奪われたり生活に困窮する可能性を危惧しているからだと言います。

つまり新しい技術であるため、AI生成コンテンツの作成・利用には法整備が追いついておらず、また倫理的観点からの検証も不十分な段階にありますが、いずれ人間の創造的領域まで含んだ様々な職業がAIに置き換わることは容易に想像ができる世の中になったようですね。