オフィス鴻

「物流・自動車局」への期待

2023年11月30日

国土交通省は、トラック運転手不足による物流クライシス等への対応が必要だとして、物流関連の政策作りを担う3部署(総合政策局の物流政策部門とトラック業界を所管する自動車局)を自動車局に移管し、10月から「物流・自動車局」の発足、トラック輸送と物流行政の一体推進を図ります。また、さまざまな企業が輸配送DXを主体としたパーケージシステムの販売を始めており、これから導入する企業も増えていくでしょう。

特にEC物流の領域では、「フルフィルメント(Fulfillment)型」と呼ばれる商品の受注、保管・ピッキング・梱包、発送、代金回収などを顧客から一括受託する動きも活発で、顧客が商品開発・マーケティング・販売に注力できるようなビジネスパートナー化が主流になるでしょう。また、宅配料金の度重なる値上げは、消費者が相応の配送料負担(配送無料からの脱却)することに繋がると期待しています。また、地方限定の貨客混載を全国に拡げる施策自体は一定の評価に値しますが、総トラック運送量からみれば極僅かであり、消費地や長距離輸送のドライバー不足を解消するには、外国人労働者の受け入れ(特定技能1号など)を含めた全体像の見直しが必要だと感じてます。

実際、ドライバーの従業員満足度(賃金)を上昇させることが離職率低下や新規採用には欠かせないと考えますが、その原資は顧客が運送サービスに対して支払いたいと考える最大金額(WTP;Willingness to Pay)にあります。つまり、このWPT増加を認める顧客が増えることが現状の職場環境や労働条件を良くする必要条件であり、社会インフラの重要な1つとしてドライバーの仕事を効率性・生産性・付加価値の観点で1から見直すくらいの視点がないと、ありきたりな政策変更で解決するような生易しい問題ではないと思っています。