オフィス鴻

ベテラン配車の価値

2025年01月11日

運送事業者の中でも営業による顧客折衝と並んで、ベテラン配車担当者の存在が収益性を大きく左右することが知られています。特に改正改善基準告示(旧293告示)により、ドライバー1日当たりの拘束時間や年間総労働時間に対する規制強化が進められている中で、如何に法令遵守しながら収益を確保できるのかは配車担当者次第とも言えます。最近は生成AI技術を活用した配車ソフト、マッチングビジネス、中継・混載方式の導入、フェリー船へのモーダルシフトなど、様々な取り組みが行われていますが、最終的にはドライバー不足を補えるのは配車担当者がキーファクターになると編集人は考えています。

具体的には、得意先(荷主)との折衝能力に長けていて、かつドライバーの健康管理・相談相手として頼りになる配車担当者がいる事業所は他事業所に比べて安定的に収益を上げられるだけでなく、離職率も低い傾向にあります。また、トラブルがあっても配車担当者の初動対応が適切であれば影響を最小限に留めることができます。実際に配車と言っても、元請け・下請事業者によって大きく違うのは、不正行為(キックバックなど)が無いことを前提とすれば、元請け事業者と下請事業者の車両運行の効率性・収益性です。簡潔に言えば、元請けがいいとこどりをして残った運送業務が下請業者に廻ってくる構図のため、固定業務の少ない運送事業者は繁忙期を除き常に仕事を確保することが最優先事項となるのです。事業所での配車業務を見ていれば、大凡の収益・品質レベルが確認できますので、興味がある読者には協力会社の事業所に足を運ぶことをお勧めします。

最近はフィジカル・インターネット技術の進歩でトラック運行の積載・共同利用等のプラットフォームが整備されてきており、異業種からの参入も多くCLO(物流統括責任者)の育成も行われるようになりました。Amazonn社のビジネスアシスト技術(「プロテウス」)なども参考にしながら、自社と相性の良い組織体制を構築するチャンスだと考えています。