オフィス鴻

ベトナム路線バス事業

2024年04月20日

東急株式会社は、ベトナムホーチミン市の中心部から北に約30kmに位置するビンズン省の新興都市トゥ・ヤウ・モット市(ベトナム南部経済圏の主要経済ゾーン)にTOKYU Garden Cityを展開しており、その一部として系列の東急バスが2014年から路線バスの運行を開始しています。奇しくも編集人が運送2024年問題対策として運送事業会社を立ち上げた時期と一致していて、ベトナムで実務経験を積んだドライバーには数年間来日・就業して定時・安全運行等を学んでいただき、その後母国に戻って東南アジア全体でITをベースに公共交通事業・教育研修事業を展開したいとの企画・立案した想いに相通ずるところがあります。

安全性を第一に考えると、外国人就労(旧実習生制度)やライドシェアに頼らなくとも、このように知恵を出し、中長期的に現地に貢献できる地道な活動を続けることが日本の労働人口減少に対する1つの解決策だと考えています。しかし、日本の道路交通法等の法整備・法改正(例えば第二種免許取得条件緩和、在留資格など)はやっと進み始めた段階で、政府が発表した物流革新緊急パッケージにも海外での貢献スキームは含まれていません。一時的に対処する目先の施策(共同輸送、モーダルシフト、集配駐車エリア、大型高速道路速度引き上げなど)も重要なことですが、革新的で目新しい取り組みに乏しい状態は明治以前の鎖国状態に似ているようにも感じます。

上記はある一例にすぎませんが、現地ベトナムのブローカーの日本での就労紹介ビジネスでは高額の手数料を借金して工面する方も多いと言われており、現地の実情に根差した東急の取り組みが実現すれば、善良な労働者の相対的割合が高くなり日本での外国人犯罪の増加に歯止めがかかる可能性もあります。また、首都圏でさえもバス乗務員不足(主に給与・勤務体系が原因)で減便・路線廃止が増加していることを鑑みれば、潜在的に約500万人いると推計されている日本の社内失業者が指導役として活躍できる機会も拡がるのではないでしょうか。