オフィス鴻

ライドシェア解禁

2024年04月19日

紆余曲折を経て、4月から一般ドライバーによる有償旅客運送であるライドシェアが解禁されました。解禁条件としてタクシー会社の配車アプリデータの活用、地域・時間帯等による偏在性を基準として、タクシー会社が運転者教育や運送責任を負うことになりました。TAXIGOアプリを導入した川鍋氏(Mobility Technologies会長、日本交通HD社長)が提唱していたタクシー業界規制と同条件(安全・信頼性・営業区域・労働時間・適正利潤など)での競争原理と客観的データに基づく導入が軸ですが、海外で頻発しているトラブル事例などから競争相手となる自家用車(ライドシェア)に対して運送責任をタクシー会社が負う(負わせる)ことは、旅客運送事業法に定められた規制・法律なのか自己矛盾を起こしているようにも見えます。当然、重大事故が起きればタクシー事業者は運送責任を負う立場ですから行政指導や違反点数が課されることになでしょう。

この問題はタクシー業界の既存権益確保と言う面で語られがちですが、現在のタクシー乗務員の歩合給は60%以上ですから、単純に考えればライドシェア運転者から人件費・車両費・維持費・燃料費・健康管理費等を除いた収受料金のうち10~20%程度の管理費用(手数料)はタクシー会社に還元されるのが正当な形だと考えます。また、アプリ配車専門(流し営業はしない)のタクシー乗務を選択できる勤務体系や新サービス(EDS(エキスパート・ドライバー・サービス)も展開していますが、川鍋氏自らが1ヶ月タクシー乗務を経験したからこそ生まれた新たな試みでも新規事業化リスクはつきもので、アメリカでMBAを取得した川鍋氏には勝算があったのでしょうね。

もう一つ、かつて反社の資金源であった空港等での白タク行為(闇営業)が海外の旅行サイト等を通じて横行していることへの対策が不十分な状態(現行法での検挙が難しい)での解禁は、日本へ訪問する観光客の安全確保面で赤信号が灯りそうです。