オフィス鴻

国鉄スト権ストと値上交渉

2024年01月03日

1975年の国鉄職員の8日間に及ぶスト権ストとは、「公共企業体等労働関係法」で禁止された三公社五現業等のストライキで、国鉄(現JR)の通勤電車に大量の張り紙が無造作に貼られ、私鉄・地下鉄に乗客が殺到しました。乗客を無理やり乗せる「尻押し部隊」が存在した酷電とも呼ばれる首都圏の通勤電車ストライキで多くの乗客が影響を受けたと記憶しています。

この話題を取り上げた理由は、運送2024年問題はこのストから学ぶ点が多いからです。当時は日本通運が全国各地の貨物駅間通運事業を事実上独占しており、現在でも輸送枠確保は全国通運(JR貨物の子会社)経由で行われます。国鉄貨物部門の多額赤字を抱える中で翌年に20%以上の値上実施により、代替輸送手段である海上フェリー、トラック輸送へのシフトが進み、採算悪化に苦しんでいた大手トラック事業者(通運・路線積合わせなど)も20%以上の値上げが行われました。その後、国鉄は旅客6社と貨物部門に分割・民営化されましたが、地方公共交通の要である鉄道事業は多額の赤字であり、九州の豪雨災害では専用道を整備して停留所を増やしたBRT(バス高速輸送システム)への転換を、自治体側が受け入れる形で双方が合意しました。また、フォワーダーズブロックトレイン(特定荷主への貸切運行)や専用貨物運搬船の新造、複合物流施設(東京レールゲイト)など、新たな取り組みも開始されています。モーダルシフト策としてのコンテナ輸送増加は、ターミナル駅から納品先までのトラック輸送が必要で、莫大インフラ維持費用と配送網を両立できるのか課題山積と言えそうです。

現在、日本の物流業界(特に運送事業)が置かれている経済環境の中、高額且つ二重課税、目的外使用の問題はあるものの、このタイミングで燃料サーチャージを導入・活用している運送会社も増加傾向にあるようですが、他の料金交渉にも積極的に取り組んで頂きたいと感じます。