オフィス鴻

燃料補助金と運送事業

2024年04月16日

政府は、原油高や円安によるガソリン等の燃料高に対して、石油元売りへの燃料補助金を何度も延長してきました。一旦は直近の燃料コスト高を若干緩和することができた運送事業者ですが、「燃料サーチャージ制度」を届け出て荷主と契約しているのは全体の3割程度に過ぎないいうことです。また、運送事業者以外でもハウス栽培農家や宿泊業(温泉・風呂)等では重油を使用することが多く、価格への転嫁ができずに大きな負担になっているといいます。どの業界に於いても原価計算は必須であり、そもそも高止まりしている燃料に対する料金交渉の段階で、需給関係は影響するにせよ補助金の存在自体が荷主(買い手)側との料金交渉の足枷となっている可能性は否定できません。

例えが適切がどうかは別として、日本経済新聞の記事を飲用すれば日本の宿泊業1泊当たりの代金はコロナ禍以前に比べて時期的な影響もあるとは思いますが那覇・箱根を除いて上昇傾向にあり、特に京都や東京は約2倍の水準で推移しているそうです。この料金高騰はインバウンドの回復と円安により訪日外国人が増えたことと、需給に基づく価格変動制と稼働率重視から単価上昇による利益確保を行う二重の要因が重なり合っており、そこに人手不足や最低賃金の大幅上昇が相まった結果のように思います。訪日客から見た日本の魅力も、食文化、清潔、治安の良さなどが上位となっており、アニメ等の聖地(江ノ電や地方鉄道の駅など)だけでなく日本人もあまり知らない地方への観光客も大幅に増加していると言います。

さて運送業界に話を戻しますが、運送事業者では事業者にもよりますが車両費(トラックのリース料・償却費)、燃料等の運行三費、配車・事務・経理などの一般管理費で売り上げの大凡40~50%程度、法定福利費を含むドライバーの人件費が40~60%程度で、運送事業単体に関しては赤字事業者数が多く、3PL等の関連収益や水屋行為(料金の中抜き)で補填しているので、この先は経営構造に係る手腕がより問われることでしょう。