オフィス鴻

物流クライシス㊥

2024年01月13日

前編に続き、日本経済新聞1面記事「2024年問題」の副題は、「安く遅くか 高く早くか?」「日本型サービスに転機」でした。最も大きな影響が出るのは、地方発首都圏(または消費地)向けの片道2日運行を要する生鮮食品輸送だと言われています。特に九州で収穫された野菜・果物は、リードタイムが1日延びることで、他産地に比べて様々な魅力が薄れる可能性が考えられます。例えば、ここ数年人気が高いイチゴ(あまおう)はトラック輸送だけでは消費者の手に渡るまで中3日となり、おいしさ・新鮮さの面で1日分のビハインドを負うことになります。JAでは、トラック+フェリーの組み合わせで従来のリードタイムを守るには、輸送等のコストが2~3割上昇すると試算しているようです。また、航空貨物として運べば更にコスト高と輸送枠確保が必要となるため、小売業や消費者がどのような選択(新鮮さ・消費量・価格など)を基準とするのか見極める必要がありそうです。

また、日本の小売業は店頭での品切れ(販売機会損失)を最小限にするために、世界中で最も厳しい水準の納品条件(リードタイム、納品率99%以上など)を取引条件に加えて、中間流通業者や生産者と取引します。海外では全体最適コストの面から一般的な納品率は95~97%程度とされ、時にはシェルフ(商品棚)の欠品も許容範囲内であれば取引に影響が出ることは無いようです。ただ、一部小売業では生鮮食品以外のリードタイムを1日延ばす実証実験が始まっており、10%程度のトラック配送効率化が図れる見込みだそうです。ちなみに、最悪のケースは台風などの災害によって、日常生活に欠かせない生鮮食品が数日供給されない事態(小売りの店頭に並ばない)だと思いますが、家庭用の冷蔵冷凍庫にストックがあれば、コロナ禍の時に起こった一部の人による買占めがあっても慌てずに行動すれば良いのだと感じます。

その他にも、引越料金の異常な高騰で転勤そのものを減らしたり時期をずらす企業が増えましたが、大学等の新学期準備が始まる3月・4月あたりは例年と同じく引越難民が増えそうです。