オフィス鴻

物流施設への投資効果

2024年04月23日

東洋経済の記事に、ZOZOTOWNがプロロジスつくばの物流施設(約4万坪の床面積)が掲載されていました。物流の中でも倉庫運営は最も自動化が進めやすい領域で、将来の労働力不足を見込んで「自動化・省人化」をキーワードに開発を行っているそうです。倉庫内作業自動化での大きな課題は、多品種の商品カテゴリーを扱う業態では納入される商品梱包が各社ごとに異なり入荷・検品の時点で自動化が進めにくいことが挙げられます。その後の在庫引当てと呼ばれるシステム上の出荷フラグと実作業のアイドルタイムが生じるため、生産性を下げる主要因の1つになります。

その後に、入庫・格納作業があるのですが、ここはパレットICタグ等を活用した保管フリーロケーションシステムと自動化が主流になってきており、最近のマテハン・システム管理技術の進歩には驚かされます。特にEC物流ではその後の出荷・検品までオートメーション化できるので、物流業界で言われるところの「宝探し(商品がどこに格納されているかわからない状態)」による無駄な作業をロボット導入で削減できるようになりました。しかし、取扱商材次第ではシステム化による様々なデメリットを俯瞰的見地から念頭に入れておかないと、トラブル対応に大きな労力と復旧時間を要することで顧客の信頼を損なうリスクがあります。

また、季節要因の高いアパレルが取扱商品のメインであり、ZOZOTOWNの受託販売方式(在庫責任はメーカー側)、買取・製造販売方式(ブランドから商品を仕入れて販売)、USED販売(個人から中古ファッション商材を買い取って販売)の事業形態のいずれも詳細は不明ですが、様々なサービスを含めた販売手数料は商品販売価格の20〜40%とされ、クーポン発行や広告費も自社負担となり営業原価を押し上げ相当割高に感じられます。そのため、ブランド側の戦略としてまだビジネス規模の小さいニッチマーケティング、セグメントマーケティングを選択する企業では、試験的にZOZOTOWNを活用しながらビジネスモデルを見極めるのに適しているようにも思います。