オフィス鴻

物流業界の選択・淘汰

2024年06月01日

今年4月から運送2024年問題への対応が始まり、法令・通達等に則り長時間労働を是として給与体系を構築してきた委受託企業は正念場を迎えています。その内容は、4月から夏頃までに年間の労働時間基準(改正改善基準告知)を順守できるかどうかが大きな壁であり、トラックGメン・労働基準監督署の調査でこれまでと同じような方法では事業持続が難しい企業がやむなく時間管理資料(勤務実績)の改ざんに手を染めたり、行政処分・是正指導などにより廃業・倒産が増えると思っています。

多くの調査機関では、2030年までに約14%のトラック乗務員が不足すると試算していますが、これから異業種を含めた荷主と物流事業者が相互に手を組むSCM上での様々な協調関係が進んでいくことは、共同輸送・中継輸送といった部分的な対応策から、編集人が以前より申し上げてきた「物流事業は中間流通を担う装置型産業(宿泊業・旅客運送など)」であるという点で、IT化によるオペレーション改善、フィジカルインターネット化(ツインデジタル技術の進化版)の研究・検討が進んでいます。その中核となるのが情報のデジタル化・共有化プラットフォームであることはほぼ間違いないと認識しており、例えば港湾での大型コンテナ輸送(通称海コン)のプラットフォーム化を国土交通省が推進したことで、3車線のうち2車線が荷積待ちのトラックで通行できないといった公共インフラ上の課題解決取組事例が挙げられます。

ただ、大手荷主企業を中心とした「物流統括管理者」の配置、一定規模以上の物流事業者へ「特定事業者」選任などを義務付けましたが、これまでの延長線の施策(いくつか罰則規定が新たに設けられました)では最終的に運送事業者にしわ寄せがくることは十分想定できます。また、日本の消費者人口減少と大都市圏への集中・消費者の意識が変わらない限り現時点で最も懸念されている農産物等の一次産業品輸送リードタイムが長くなることや、鮮度管理への根本的解決策とはならない(天候等による計画生産体制が出来上がっていない)ように思われます。