オフィス鴻

物流2024年問題の着地

2024年01月02日

政府による「持続可能な物流に向けた検討会」や「物流革新に向けた政策パッケージ」は、商慣行の見直し(荷主と運送会社の契約)、物流の効率化(共同配送、混載など)、荷主・消費者の行動変容(納品条件、賞味・消費期限など)をベースにしています。今後、労働時間短縮とJIT等に起因する低生産性のジレンマをどのような方法で解決していくのか、一部企業を除いて本質的課題解決には至っておらず、社会全体での中間流通(製造業~消費者)俯瞰の観点では、物流機能を維持するために非効率な商慣習の改革と共通社会インフラの整備を同時並行的に進める必要があると考えています。

本年4月の法制化以降も結果的に法令順守できない運送会社に対する行政指導が行われても、荷主との交渉力を有していない運送会社(荷主が危険な運行を強要する、他社への切り替えを匂わす)が単独ですぐに改善できるとは考えずらいでしょう。特にリードタイムはサプライヤーの生産計画(効率化)と納品先の受け入れ態勢(納品待機時間・パレット荷役など)2~3年の間(貨物自動車運送適正化事業実施機関;各都道府県のトラック協会が自主的に貨物自動車輸送秩序改善指導員を選任して、定期的に事業者を巡回訪問する活動)は、新たな法令に準拠する形で重点調査項目が変化していくと思われ、改善基準告示(293告示)が改定されると、①乗務員の拘束時間、②労働時間、③休息時間、④時間外労働時間など、レイバー管理システム変更も必要となります。

さらに、大規模EC物流の小口商品配送(宅配)の元請事業者の中に、二次・三次受け(下請け)の業務委託(個人事業主)を含む従業員に対して、最大年間100万円を経営者の私財(企業間取引による利益から提供していないことが収受運賃の低さを示しているように感じます)から提供する企業も現れました。編集人は個人的に労働対価でない点に違和感がありますが、今後も継続していくならば乗務員確保策の1つとして有効でしょう。