オフィス鴻

運送2024年問題(2)

2023年02月05日

主に運転手(ドライバー)不足の大きな要因といわれる長時間労働、低賃金、高齢化について、現業に携わったことのある立場から考えてみました。コロナ禍の影響も相まって、宅配クライシス(荷物が予定通りに届かない)言葉を聞く機会も増えましたね。

まず、貨物トラック(一般・特積)は、1990年代前半のバブル景気崩壊後に「第3の利益源」として物流費見直し(実質的値下げ)が盛んにおこなわれました。さらに物流二法改正(規制緩和)により、荷物とトラックの需給バランスが崩れました。それまでは、バブル景気による需要拡大でトラック不足の状態でしたが、一転して荷主と運送事業者の立場が逆転していくのを目の当たりにしました。トラック運転手の給与形態は、基本給(日給月給制)と時間外手当、各種稼働手当で構成される場合が多く、月間30~40万円程度だったと記憶しています。編集人は荷主の配車方法と料金体系を理解するため、約1年間大型トラック(試験場で大型・けん引免許取得)に乗り、某大手食品製造業の主工場で仕事をしていました。そこで行った提案は、賃金は基本給+時間外手当+収入兼作業歩合制(重要ポイント)としてもらうこと、荷主にはトンキロ中心の出来高制契約へと変更をお願いしたところ、営業収入は1.5倍、営業利益は3倍となり、給料は多い月で70万円以上になりました。

一方、仕事を選り好みするドライバー(嫌いな仕事はしない、適当にさぼり残業稼ぎに勤しむ)の仕事は徐々に減少し、配車に協力的な若手ドライバーは大変重宝され給料が上がる傾向がありました。また、運送事業者内での同一労働同一賃金問題(改正労働契約法第20条、雇用契約(正規・非正規))は、配車計画全体を俯瞰できる人材の重要性と配車の公平性が運送事業者の働き方改革の本質の1つであると痛感しています。