オフィス鴻

運送2024年問題(4)

2023年02月07日

有償旅客運送事業(タクシー・バス)の身近な例として、TAXI GO(日本交通系)やS・RIDE(ソニー系)が首都圏を中心に普及してきました。編集人もアプリ登録して利用していますが、特徴的なのはサービスチャージ制(迎車料・車種指定・優良運転手指定など)と乗客による乗務員評価が給料に反映できる仕組みが導入されていることです。一方で、バス業界では子会社化・外部委託方式では既存路線の維持が困難で、不採算路線・時間帯減便の方向へと進んでいます。

さて、流通全体(中間流通機能)の無理・無駄を無くすためには、自動車貨物運送業界に限らず他業種の実情をも理解した企画・交渉能力の高い人材確保と育成が急務でしょう。これは各企業の利害・利権構造に深くかかわる総論賛成・各論反対の論調に終止符を打ち、お互いが何らかの形でWin-Winの関係となることが、単なる安値受注競争から品質・作業の競争に切り替わるキーになると思うからです。例えば、荷主への定期的なゴルフ接待よりも、荷主に運送業界の現状を正しく理解してもらうために、相手方のデシジョンメーカー(最終意思決定者)と数値やデータを基に膝詰めで意見交換できる高い交渉能力がある運送事業者となり、双方の妥協点を探り改善努力を重ねることの方が余程建設的だと思っています。

ただし、交渉できる人材(コンサルタント会社を含む)がいなければ経営者自らが交渉する以外になく、運転手不足、高齢化の進行、長時間労働、報酬等の問題は、非正規雇用者問題と相まって、改正法令を遵守できない中小運送事業者は退場に追い込まれ、トラック不足で荷物を決められた日時に消費者へ届けられない事態が目の前に迫っているのかも知れません。特に有識者や業界団体を中心に2024年問題についての議論を見ていると、運転手不足問題だけが独り歩きしている感は否めません。