オフィス鴻

EVインフラ整備

2023年09月30日

日本国内では、経済産業省が中心となって約1千億円の補助金を活用して整備された「公共EV施設」の多くが2015年頃であり、現在その多くが更新時期(一般的に耐用年数は10年弱)にあります。また、ヨーロッパや中国と比べて国内のEV自動車普及の遅れ(乗用車全体の2%程度)、低出力の急速充電器の多さと運用・採算難等から新たな設備更新をせずに閉鎖・休業したり、老朽化したまま放置されるケースも増加しているようです。この問題を解決するため、テラモーター社では急速充電が可能なスタンド施設をを量販店等を中心に都内で1千か所に整備する計画を発表しました。今後のEV車普及の政府目標である2035年までに新車EV電動車100%に向けた大きなインフラ整備となりそうです。

もちろん、政府・自治体や自動車業界が手をこまねいている訳ではなく、普及に向けた新たなサービスとして充電スタンドとショップ併設、カーシェアリング事業でのEV車両増車、近距離輸送EVトラック開発・利用(中国製の宅配便車両など)といった、補助金以外の施策も進められています。ただし、環境負荷と言う観点では蓄電池(バッテリー)の補償期間が5年程度と短い上に交換費用が高いこと、純正品以外は発火・爆発等の危険があること、劣化による有害物質廃棄などの観点から、継続利用へのハードルは汎用的に使用されるにはまだまだコスト面を含めて高いとも言えるでしょう。

一方、昨今の異常気象に起因する災害時におけるEV車電源の活用、自家太陽光発電装置設置による発電量逼迫の緩和については、不幸中の幸いではありますがその副次的活用方法が注目されていることも事実として挙げられます。既にEV車先進国である中国では、購入後10年を超えたあたりから維持されずに放置されるEV車数も多いとの報道(ドローン映像なので事実関係は不明)もあり、国内法整備と技術革新、公共インフラ整備により加速度的にEV車普及が進むこともありえると感じています。