オフィス鴻

カクヤスから学ぶ戦略

2024年04月14日

カクヤスという酒類中心の量販店があり、うたい文句は「東京23区内、最短1時間(エリアによっては10分程度)、1本から配送」と柱とした新たな独自ビジネスモデルを展開していところに注目しています。ドミナント式に繁華街にサテライト配送専用倉庫を持つことで収益率の高い高単価業務用へとシフトしているようです。これまで酒類を提供する繁華街の比較的高級な飲食事業者(銀座のクラブなど)は利用客のオーダーを予測して店内に相応の在庫をもっていましたが、高級ワインや蒸留酒(ブランデー・ウィスキー等)なども顧客のオーダーを受けてから発注できるため、店員による不正防止(高級酒類の転売など)や保管スペースの効率的活用など非常に優れた仕組みだと思います。

また、顧客(飲食事業者)の立場で考えられた単なる商品提案型営業に留まらず、エンドユーザーに喜んでいただく提案営業のために人的経営資源を集中させ、365日24時間配送を実現するために日中の比較的閑散とした時間帯にペットフード・日用品等の配達を取り入れるなど、物流クライシスを逆手に取ったラストワンマイルでの物流網・コールセンター・配達人員配置など編集人も物流事業・中間流通の端くれを担ってきた者として学ぶべきところがたくさんあります。さらに、トレンド情報や繁盛店ノウハウなどを生かしたメニュー提案成功事例を提案や、新規開店時の支援・課題解決などもきめ細かくサポートすることでロイヤルカスタマーをどんどん増やしているといいます。

現在は、関東(一都三県)と京阪神エリアをメインに営業サポートを行っているそうですが、ドミナント化の弱点であるカニバリゼーション(自社内での売上共食い現象)が起きにくい点でも非常によく考えられたビジネスモデルだと言えそうです。その他にも、24時間365日web発注方式が導入され、請求書・購入履歴(PDF)がいつでもダウンロード可能など経営面の手間を省く仕組みもあるそうですから、購入者には至れり尽くせりのサービスなのかも知れませんね。