サプライチェーンマネジメント
2024年01月06日
SCM(supply chain management)は、サプライヤー(製造業)の原材料調達、生産管理、物流、販売に至る中間流通における一連のフローを指し、物流事業者でなくともご存知の方も多いです。ただし、それぞれの過程で多くは複数の事業者・事業部門が関連しており、消費動向の変化に対して全体として柔軟に対応することが困難で個々の優先順位(原価、生産性、納期など)の中でアンバランスが生じます。そこで、製造~販売(アフタケアを含む場合もある)までの様々な分断を極力減らし、最適生産によるコスト削減を実現するという考え方として2000年頃から日本でもSCMの概念が拡がりました。
日本では、徐々にEC物流などを中心に直販制度(卸売・商社等を介在しない販売方式)も増えてきましたが、後述のVMI、ECR、CPFRなどの手法をもってしても、急激な需要変動への対応や正確な適正在庫予測を行うことは難しく、過剰在庫や販売機会損失を最小限にするための改善の余地は大きいと感じています。つまり、SCM導入は経営改善の一手段であり、万能ではないことを理解した上で自社にあった方法を模索すべきだと考えています。
一方で、インターネット技術の発展や新たなイノベーションとグローバル化により、世界規模でのネットワーク構築が重要視されてきた結果、複数の経営資源を同時並行的により効率的に管理する必要性が生じたことから、統合基幹業務システム(ERP;Enterprise Resource Planning)とサプライチェーン全体とのシステム連携を視野に入れた動きが活発化しています。しかし、その実現には多額の投資や他社との連携に必要な販売情報のシステム共通化(ローデータ等によるインターフェイス構築などを含む)を必要とするため、あまり最適化を優先しすぎるあまり、最適な要件定義に欠け、業務管理工数の増加と複雑化が発生するリスクは高く、本来の目的から逸脱する可能性もあることに留意して導入・運用を検討すべきでしょう。