オフィス鴻

副業と兼業の相違

2023年12月27日

社内公募制度とは、従業員が自ら志望する異動のため、モチベーションアップを後押しする制度と言えます。転職せずとも自分のしたい仕事にチャレンジできる制度であり、優秀な人材の社外流出防止に一定の効果があります。もちろん、公募側部署にも責任感が生じるため、受け入れ側の従業員満足度向上も副次的に期待できるでしょう。社内副業制度とは社内公募と似ていますが、一定の期間・時間(週換算で約1~2日分程度)に複数の部署・業務を経験していくもので、社内での業務フロー把握、後々のキャリア選択にも有効性が高いと思います。ただし、希望が叶わない時に現上司との関係性が悪化したり、自信喪失、モチベーション低下などの副作用も生じます。

つぎに兼業(社外副業)ですが、労働法面での対応(社会保障費、労災など)が複雑で、安易な導入は慎むべきでしょう。また、守秘義務や通勤時間を含む総労働時間規制、体調管理などへの責任があります。一方、他社と自社の違いが比較できるなど、改めて現職企業の良さを見直せるメリットも大きいです。ただし、単純に生活費補填・借金返済が目的ならば、無理して働くことが多く、結果的に業務上のミスや重大事故発生リスクを伴うため、兼業(副業)を禁止する企業が多いのが実態です。また、住民税などから人事部門で兼業が発覚することもあり、就業規則違反で懲戒処分を受ける可能性もあります。

そのような観点からすれば、社内副業は企業全体での業務量・人員調整範囲内を対象とするため、内部人件費振替えにより新規人員補充よりもコスト抑制でき、また今まで気づかなかったことへの改善の視点や他部署との社内連携強化が期待できるなど、人材の外部流出(退職)もない比較的リスクの少ない方法だと思います。つまり、これまで企業が把握していなかった従業員の新たな才能・能力が評価される可能性がある一方で、守りを軸にしたバランス感覚を求められる働き方であり、綿密な制度設計なくして成功には結び付かないと感じます。